「無」とは何だろう?

「無」というものを思い浮かべることはできるだろうか?

僕が「無」と聞くと、例えば真っ白い空間を思い浮かべる。だが、それだって「真っ白い空間」が有るのであって、絶対的な「無」ではない。

そうすると、絶対的な「無」というものは観念できず、人間が観念できるのは相対的な「無」に限られるのではないか。

それでは、相対的な「無」とは何だろう。相対的という以上、それは比較する対象があって初めて成立するものだ。

例えば、目の前のある空間にりんごがあるとする。それを食べてしまえば、そこからりんごがなくなる。これを言い換えると、その空間に相対的な「無」が生じたといえるのではないか。

つまり、相対的な「無」は「移動」とセットの概念だということだ。

それでは次に、移動させるものをりんごから、全空間に広げてみるとどうだろう。こうなると、もはやその空間は移動する先がなくなってしまう。というよりも、移動前と移動後で同じ状態を指すことになる。

言い換えれば「全空間=無」と言えることになるのではないだろうか。