(映画感想)「ロケットマン」(2019年)
この映画は、伝説的なミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた作品だ。
劇中に流れる歌がどれも素晴らしいことはもちろん、ジョンの抱える孤独と苦悩が余すことなく描かれていた。
成功すればするほどジョンを利用しようとする人が群がってきて、彼を一人の人間として対等に向き合ってくれる人がいなくなっていく。
そして、おそらくジョンが最も愛情を求めていた両親でさえ、彼の人格を見ようとしない。
そうやって深く傷ついていった結果、心を開ける数少ない友人を、自分の手で拒んでいく様は見ていてつらかった。
彼を物のように扱う周囲の人間に憤りを覚えたが、きっと彼らを批判してもしょうがないのだろう。
映画には描かれていないが、彼らにも、そのような人間になってしまうような様々なつらい経験をしたのだろうから。
どんな経験をしようとも、人としてまっすぐに生きていくためには、どうすればよいのだろう。